【コロナ後の世界】グアム島の逡巡 観光旅行は再開されるのか?

コロナ後の世界

新型コロナウィルスの蔓延は留まることを知らず、世界中で感染拡大が収まる気配がありません。このような状況の中でも、観光収入に依存するリゾート地の中には外国人の誘致を再開させようという試みを模索する所が出てきました。日本人観光客になじみの深いグアムとハワイの状況についてお知らせします。

グアム島の逡巡

2019年度に163万人の観光客が訪れたグアム島も、新型コロナウィルスの影響により2020年3月以降観光客の来島はパタリと途絶えた状態が続いています。特に2大マーケットと言われた日本人と韓国人が渡航出来なくなったことにより、ホテル業や運送業など観光産業全体にに甚大な損失が生まれています。(注:昨年グアムを訪れた日本人は68万4千8百人です)

急激に落ち込んだ島内経済を立て直すため、グアム州知事は北米や欧州と比較して感染状況の落ち着いている日本・韓国・台湾に対して、検疫体制を緩和し来島を促進する政策を打ち出しました。これは現状義務付けられている14日間の自己隔離と検査義務を撤廃し、通常通りの入国を認めるというものです。また、健康状態を証明する診断書の提示もこの3か国の国民に限り撤廃するという驚くべき内容でした。他国のガイドラインと比較しても桁違いに緩い措置です。

しかし、当初は2020年7月1日より日本人などの来島者の受け入れを再開すると表明していた州知事及びグアム政府観光局は、6月26日にその方針を一旦撤回し、受け入れ再開を再検討する旨を発表しました。

グアム州知事は「直近のグアム島内での感染者数の増加により、グアム島民並びに来島者の安全を最優先とし、再開の延期を判断した。グアムは数週間にわたり、マスク着用・ソーシャルディスタンスの遵守など島民・来島者に必要不可欠な衛生ガイドラインの作成を実行してきた。6フィート(2m)のソーシャルディスタンスを取りつつも‘ハファ・スピリット’を共有することで、私たちの心はいつも皆様の近くにある。」とコメントしています。

また、元州知事であり現グアム政府観光局局長のグティエレス氏は「状況の変化により再開日を再検討しなければならなくなった。私たちがまた皆様にグアムでの観光体験をご提供できるようになるまで、少しの猶予をとることにご理解いただいた旅行業界のパートナーの皆様に心より感謝する。同時に新型コロナウィルス感染防止策を講じてきた日本・韓国・台湾に大変感謝する。自信を持って来島者を安全に、そして安心してお迎えできるように引き続き努力する。」とコメントしました。

今は世界中の国や地域が経済の再開と感染拡大阻止の狭間で揺れ動いています。外国人を大量に受け入れるためには、まずは自国・地域の感染状況が落ち着いている必要があります。また、病院の医療体制がひっ迫していないことが絶対条件になります。それと同時にPCR検査を含めた空港の検疫体制の強化や陰性証明書の確認など入国・入島の際の水際対策を強化しない限り、国民・島民は安心して外国人を受け入れることが出来ません。グアム州の挑戦はこれからも続くと思われますが、まだハードルは相当高そうです。

JTBやHISなど大手旅行社は当初グアム州の発表を受け、パッケージツアーの販売を再開しましたが、6月26日の州知事発表を受けツアーの販売を中断しました。日本航空とユナイテッド航空も就航便の再開を決定しましたが、こちらも就航便の中止及び延期を発表しています。航空会社としてもビジネス路線とは違い、リゾート路線の復活はまだ難しいというのが現実です。日本帰国の際の必須要件であるPCR検査と14日間の自宅待機要請も解除になっていない今、観光目的の海外旅行を再開させるのは、まだ時期尚早だと感じている人は多いのではないでしょうか。

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