【コロナ後の世界】日本はまだ鎖国中です。

コロナ後の世界

現在、新型コロナウィルスの影響により諸外国と日本の間の人々の往来は大幅に制限されています。日本では「新型コロナウィルス感染症に対する水際対策の抜本的強化に向けた更なる政府の取組」が閣議了解されており、「全ての国または地域を出発し、日本に到着する航空機及び日本の港に入港する船舶に乗って来られた方については、検疫法に基づく隔離(入院)・停留が必要となる場合があるほか、検疫所長が指定する場所(自宅等)において14日間の待機をお願いすることとなります。また、ご自宅へは公共交通機関を使わず、ご家族やお勤めの会社等による送迎でのお帰りをお願いすることとなります。」と定められており、この14日間の自宅待機要請が海外へ渡航する際の最大の障壁になっています。

日本が入国を拒否している国々

出入国管理及び難民認定法に基づき、日本が上陸を拒否している国々は129の国と地域に及びます。これらの国から渡航する外国人は日本へ入国する事が出来ません。

  • アジア:中国、韓国、台湾、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナム、インドネシア、マレーシアなど
  • 大洋州:オーストラリア、ニュージーランド
  • 北米:アメリカ合衆国(ハワイ・グアムを含む)、カナダ
  • 南米:ブラジル、メキシコ、アルゼンチン、チリ、ペルー、パナマなど
  • 欧州:イギリス、ドイツ、フランス、イタリア、スペイン、ギリシャ、オランダ、ハンガリー、フィンランド、クロアチア、スウェーデンなど
  • 中東:カタール、イスラエル、クウェート、アラブ首長国連邦、トルコ、サウジアラビアなど
  • アフリカ:エジプト、南アフリカ、モロッコ、ギニア、ガーナなど

上陸拒否対象国一覧はこちらの外務省ホームページをご参照ください。

日本人の入国を拒否している国々

現在、世界176カ国・地域が日本からの渡航者や日本人に対して入国制限措置を取っています。ほぼ世界中の国々が日本人を含め全ての外国人の入国を制限しています。

入国制限措置を取っている国・地域の一覧はこちらをご参照ください。

ビジネスの往来を目的とした国家間の往来が始まりました。

日本政府はベトナム・タイ・オーストラリア・ニュージーランドの4カ国に限り、入国制限措置の緩和を検討しています。この4カ国は新規感染者数が減少しているとの理由から日本の国家安全保障局(NSS)が入国制限緩和候補の第1弾として選別した国々です。

タイとベトナムには多数の日本企業が進出しており、技能実習生も多く来日しています。オーストラリアとニュージーランドは農産物と鉱物貿易で重要な役割を果たしており、経済の再開を待ち望む両国の利益が一致した形となるものです。

日本政府はまず「ビジネス」上の往来を促進しようとしています。しかし、両国間の入国制限がどのように緩和されるかはまだ不明です。現在は上陸拒否対象国になっているこの4カ国との間で、どのような形で入国制限を緩和し往来を許可するのかは、今後の海外旅行解禁に向けた一つの指針になるものとして大いに参考になるはずです。

海外旅行解禁に向けての最大の障壁。日本へ帰国する際の水際対策強化措置について

現在、日本人が日本へ帰国する際には検疫の強化が行われています。特に上記111カ国・地域から帰国した際の強化措置は以下の通りです。

  • 検疫法に基づき、本邦空港内にて検疫官に上記地域より帰国した旨を申告
  • 空港内検疫所にて、質問票の記入、体温の測定、症状の確認を行う
  • 帰国者全員にPCR検査が実施され、空港内のスペース又は検疫所長が指定した施設等で結果が判明するまで待機
  • a)検査結果が陽性の場合:医療機関への入院または宿泊施設等での療養
  • b)検査結果が陰性の場合:入国から14日間は自宅もしくは自身で確保した宿泊施設等での不要不急の外出を避け、待機することを「要請」(注:義務では無く要請)
  • 保健所等による健康確認の対象者となる
  • 自宅等への移動は公共交通機関(鉄道・航空機・リムジンバス・タクシーなど)を利用せずに、各自で移動手段を確保する事。自家用車や社用車の利用を推奨
  • 検疫官の指示に従わない場合は罰則の対象になる場合がある

つまり、海外から帰国したら2週間は自宅待機する事を検疫所から要請されている訳です。現状ではよほど時間に余裕のある人以外は海外へ出ることが出来ません。この水際対策強化措置は6月末日までの措置のはずでしたが、諸外国での感染拡大が続いているため、相当期間延長される予定です。

日本はまだ鎖国中です。

イタリアやスペイン・ギリシャなど観光収入に依存するヨーロッパの一部の国々やグアム・台湾・タイなどが外国人の入国再開の時期を模索しています。ただし、対象をビジネス目的に絞り込み、渡航者の人数をコントロールする事で他国からのウィルスの侵入を防ぎ、自国の医療体制が崩壊しないように備える動きも特にアジア諸国では顕著です。

日本の場合は、空港検疫所でのPCR検査体制が最大のネックになりそうです。政府の発表ではPCR検査センターを設置するなどの方針が語られていますが、慢性的な人手不足もあり、検査体制が強化されるまでには長い時間がかかりそうです。(成田空港検疫所も関西空港検疫所もいまだに期間業務職員=看護師及び検査員を募集しています。命懸けの仕事です。)https://www.forth.go.jp/keneki/narita/soumu/pdf/saiyo_20200527_kenekika.pdf

海外へ出発する際の必須条件となりそうな、事前のPCR検査陰性証明書の発行と帰国時の空港検疫所でのPCR検査の拡充はいずれも海外旅行の再開に向けては非常に重要なファクターになりますが、この半年間にわたる厚生労働省及び保健所のPCR検査体制を見ている限り、海外旅行者向けに検査体制を拡充する事は不可能に近いでしょう。第2波の襲来に備え病院崩壊を防ぐ手段を講じる方が優先順位はよほど高いはずです。

間もなく今年も折り返しですが、まだまだ日本の鎖国は続きます。

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